子どものこんな症状は、起立性調節障害
小児起立性調節障害の全人的治療
起立性調節障害相談室(Q&Aコーナー)
低血圧サイト

企画・監修:田中 英高
(大阪医科大学小児科准教授)
企画協力:松島 礼子
(済生会吹田病院小児科)

起立性調節障害 最近のトピックス


平成21年度の起立性調節障害関連のトピックス

3月も終わりに近づき、年度末も迫ってまいりました。子どもたちや若者は4月から入学、進級、新生活と新しい1年が始まりますね。
来年度はどんな年になるのか、希望に胸を膨らませている人も多いと思います。
今年は、3月になってからも各地で雪が降ったりと気温が定まりません。冷え性で悩むODや低血圧の人にとっては、早く暖かくなって欲しいですね。
さて、今回は平成21年度の起立性調節障害に関連したトピックスをまとめました。昨年末にもご紹介していますが、最先端の内容です。今後の皆さまの治療の参考になれば幸いです。

1.『起立性調節障害診断・治療ガイドライン英語版』が出版
2009年1月に『起立性調節障害診断・治療ガイドライン英語版』が出版されました。
日本語版は2006年に発行されていますが、それに海外向けに修正を加えて日本小児科学会の英文雑誌に掲載しました。
また、その雑誌の表紙のデザインにODのサブタイプが採用されました。
(Tanaka H, Fujita Y, Takenaka Y, Kajiwara S, Masutani S, Ishizaki Y, Matsushima R, Shiokawa H, Shiota M, Ishitani N. Japanese Clinical Guidelines for Child Orthostatic Dysregulation Ver.1 Ped Internat 2009; 51:169-179)


2.起立性調節障害の脳循環に関する情報
起立性調節障害の脳循環に関する論文が、大阪医科大学小児科の金泰子医師によって日本から発表されました。
一般の小学校、中学校に協力をお願いし、起立性調節障害について子どもたちや保護者に説明した後、希望者に対して非侵襲的連続血圧測定装置(Finapres)と近赤外分光計(NIRS)を使った起立試験を実施しました。
健康な子どもの中でも軽症の起立性調節障害は存在しますので、かれらと起立性調節障害のない子どもを比較したところ、起立性調節障害のサブタイプである起立直後性低血圧、体位性頻脈症候群ともに、起立時に脳血流の低下が起こることが見つかりました。
その結果は、昨年の第112回日本小児科学会総会、第63回日本自律神経学会総会で発表されました。また日本小児科学会の英文雑誌にも掲載されています。
(Taeja-Kim Y. Tanaka H, Takaya Y, Mitsugu K,Tamai H, Arita M. Quantitative study on cerebral blood volume determined by a near-infrared spectroscopy during postural change in children. Acta Pediatrica 2009;98:466-471)

3.『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応』刊行
2009年4月25日 中央法規出版から『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応』を発売しました。起立性調節障害について、もっとわかりやすい本がほしい、という皆さまのご要望にお応えして書かれた一冊です。
お陰様で多くの方々に購入頂き、「友だちに貸してあげた」「学校に献本しました」というお話も届いています。読んでくださった皆様には起立性調節障害の啓発事業にご協力頂き、心からお礼申し上げます。


『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応<怠け者って、呼ばないで>』
田中 英高(中央法規 定価 1,680円/税込)

4.『小児心身医学会ガイドライン集:日常診療に活かす4つのガイドライン』刊行
2009年6月、日本小児心身医学会から、『小児心身医学会ガイドライン集:日常診療に活かす4つのガイドライン』(日本小児心身医学会編 南江堂 2009年 東京)が発売されました。「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」、「不登校診療ガイドライン」、「小児の神経性無食欲症診療ガイドライン」、「繰り返す子どもの痛みの理解と対応ガイドライン」の4つのガイドラインがまとめられました。診断や治療、専門医への紹介のタイミングなど医師向けに書かれた専門書ですが、保護者や学校への指導などについてもわかりやすく解説されているので、医師から指導を受ける側の保護者が読んでも役立つ情報になっています。
これまで、『小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン2005』は、日本小児心身医学会会員だけしか入手できませんでしたが、これによって誰でも手に入れることが可能となりました。


『小児心身医学会ガイドライン集:日常診療に活かす4つのガイドライン』
日本小児心身医学会 編集(南江堂 定価:3,990円/税込)

5.起立性調節障害専門医向けガイドライン作成に着手
平成20年度、日本小児心身医学会は、起立性調節障害専門医向けガイドライン作成に着手しました。これは厚生科学研究 子どもの心の診療に関する診療体制確保、専門的人材育成に関する研究(奥山班) 分担研究子どもの心身医学的診療(含リエゾン)の標準化に関する研究と共同で実施し、来年度には案が完成する予定です。

6.『小児科臨床ピクシス 起立性調節障害』刊行
2010年1月、中山書店から『小児科臨床ピクシス 起立性調節障害』が出版されました。
これは、専門家56名が執筆にあたった起立性調節障害の学術専門書です。宇宙飛行帰還後に生じる起立性調節障害の最新知見から、起立性調節障害を克服した保護者の体験手記まで、非常に多面的な視点から構成されています。
『起立性調節障害ガイドライン』に沿った記載になっていますので、これ一冊で起立性調節障害のすべてがわかります。学術専門書とはいうものの、一般的な医学専門書よりかなり平易な内容となっていますので、専門家以外の方でもお読みいただければと思います。


『小児科臨床ピクシス 13 起立性調節障害』
五十嵐隆 総編集(中山書店 定価8,400円/税込)

7.起立調節性障害ジョイント講演会の開催
起立性調節障害に関して、保護者を対象とした講演会を企画し、2010年1月16日に開催しました。その開催報告についてはすでに本サイトでも簡単に紹介しております。
2010年2月トピックス 起立調節性障害ジョイント講演会 〜保護者が病院に望むこと、学校に望むこと

以上、平成21年度は起立性調節障害元年ともいえるほど、盛りだくさんな活動ができました。これも皆様方のご支援の賜だと感謝申し上げます。来年度は、専門医向けガイドライン案を完成し、また一方で、保護者向けのペアレントトレーニングにも着手したいと考えています。また、このサイトでお知らせしていきます。

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