子どものこんな症状は、起立性調節障害
小児起立性調節障害の全人的治療
起立性調節障害相談室(Q&Aコーナー)
低血圧サイト

企画・監修:田中 英高
(大阪医科大学小児科准教授)
企画協力:松島 礼子
(済生会吹田病院小児科)

起立性調節障害 最近のトピックス


高校生活に苦戦している起立性調節障害の皆さんと保護者の方へ
-大切な高校生活で失敗しないために-


本サイトを監修している田中英高医師から重要なメッセージが届いていますので、掲載します。

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本サイトをご利用の皆さま、こんにちは。いつもサイトにアクセスして頂き、心からお礼申し上げます。

さて、今年は5月、6月の天候不順の影響もあってか、起立性調節障害の子ども達の体調がとても悪くなっています。これは起立性調節障害を発症してまもない中学生だけでなく、すでに治療中の高校生でも同じことがいえます。とくに高校1年生では、心機一転、新学期が始まって2ヵ月が過ぎたばかりですが、体調不良のために遅刻や欠席せざるを得ず、悪戦苦闘しているケースが多いようで、各方面から相談、問い合わせがあります。

1.全日制高校は起立性調節障害にはきつい

とくに全日制高校に進学した子どもは、中学校のように毎日朝早くから登校し、授業に出席しなければならず、肉体的にも精神的にも大変強いストレスになっています。実際に、何人もの医師から「全日制高校に進学した起立性調節障害の高校生を診察したが、体調が悪く欠席続きらしい。どうしたらいいのか」と相談を受けています。自分の体力に見合った授業時間割の高校(例えば、定時制や通信制など)に進学した子どもは、比較的無理なく通学できているのですが、全日制高校の授業では体力のキャパを超えてしまうことがあるからです。せっかく全日制高校に進学できたのに、欠席日数が多くなり留年や中退をするというケースが跡を絶ちません。

2.早めの診察と適切な高校選択アドバイスがあれば

私は10年以上前から、高校を留年や中退していく起立性調節障害の子ども達の悲劇をなんとか少なくできないか、と思案してきました。そして起立性調節障害の発症の早い段階で診察を行い、病気の程度に合わせた高校選択をアドバイスできれば、高校生活をうまく乗り切れることがわかりました。中学生の間に病気の経過を予測できれば、体力的に無理な高校進学をした結果、あえなく挫折という事態は防ぐことができます。

最近、大阪医大小児科を受診したいと希望する中学生が多いため、初診の待ち期間が約1年以上になってしまいました。その間に適切な高校選択のアドバイスを受けられず、結局、高校生活でつまずいてしまう子ども達が少なくありません。また大阪医大小児科では高校生の初診をお断りしていますので、私としても大変に申し訳なく、とても心苦しく思っています。本当はお一人ずつ診察して、お話ししたいと心から思っているのです。

3.ガイドラインに沿った医師のアドバイスを

10年以上前は起立性調節障害という病気に対する考え方や治療方針は専門家によってさまざまでした。例えば、「起立性調節障害の子どもは叱ってでも朝起こして登校させよ」あるいは「起立性調節障害は病気ではなく不登校だ、この民間療法をすれば治る」などです。はたしてどの意見が正しいのか、さっぱりわからない状態でした。

しかし、2006年に日本小児心身医学会から「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」が出ました。起立性調節障害に対してスタンダードな考え方、全国で共通する基本的な診断・治療方針が明示されたのです。ガイドラインでは、起立性調節障害は心理社会的因子が関与する心身症だがその本態は身体疾患であり、どのような治療や支援が望ましいのか、保護者だけでなく、教師など学校関係者への理解を求めるように記載されています。

起立性調節障害の子ども達は高校生になるまでに、ガイドラインに沿った治療を行う医療機関を受診し、適切なアドバイスをもらうことが望まれます。

4.『起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック』で正しい高校選択を!

『起立性調節障害の子どもの日常生活サポートブック』には、起立性調節障害の子どもが高校へ進学する際の選択で失敗したケース、成功したケースを紹介しています。また100名の重症起立性調節障害の子どもがそれぞれ高校進学後、どうなったかの追跡調査の結果も記載されています。すなわち、「起立性調節障害の子どもの高校進学はどうしたら成功するのか」に力点を置いた書籍なのです。

そのような内容を著した理由は、たとえ、医療機関で適切なアドバイスをもらえなくても、患者さんが正しい知識と情報を持ちそれに基づいて正しい進学先の選択ができるようになれば、きっと高校生活を乗り切ることができるに違いない、という私の強い思いがあるからです。そしてその内容を本として出版することで、一人でも多くの人に、暗闇の中の灯台としてもらいたい、明るい希望を持って今日を生きていってもらいたい、と強く、強く願うからです。

前著の『起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応』と同じく、本書もガイドラインに沿った内容となっています。できるだけ多くの人に役立つためには、やはりスタンダードでノーマルな理論に則った治療や支援が必要と考えています。言い換えれば、ガイドラインによって起立性調節障害の基本的な診療が確立した現在、本書もまた起立性調節障害の実質的な基本書として、治療や支援の方法を伝えることができると考えています。

これから高校進学を控えている中学生や保護者の方、高校進学後に苦労している子ども達、すでに高校を卒業してしまった起立性調節障害の成人の方にも、本書をくり返し読んで頂きたいと、そして明るい未来に向かって頂きたいと心から願っております。


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